※メールマガジン「小寺・西田の金曜ランチビュッフェ」2015年11月6日 Vol.056 <転ばないようにジャンプ号>より
11月4日から3日間、有楽町の東京国際フォーラムにて、Canon Expoが開催された。キイテナイヨという方もあるかもしれないが、これは5年に一度開かれるキヤノンのプライベートショーで、招待された関係者しか閲覧することができない。
展示としては、現在キヤノンが研究開発中で、今後製品化を目標としている技術やモノが中心となっており、5年後の「もしもこうだったら」を占うイベントとして、興味深いものだ。今回も中身を見ることができたので、ここではイメージングに関係して興味深かったものをいくつかご紹介したい。
8Kプロジェクタを使った仮想空間
入り口近くで展示されていたのは、8Kプロジェクタを使ったシアター的な展示である。8Kの解像度があれば、単に映像を見ているだけでも移動感が得られるという趣旨で、100インチほどのスクリーンに前後の移動感がある映像が上映される。
・8Kプロジェクションによる移動感のデモ

たしかにカメラが前進する映像の時は、自分自身が進んでいるような感覚が得られるが、これにはミソがある。実は左右には、中央で展示された映像にリンクした、横方向の映像も投影されるのだ。横の映像はあえてディテールを潰してあり、視聴者の意識が向かないようになっている。前進する映像では視界の端に横に流れる映像が入り込むため、移動感が得られるというわけだ。
・視界の横から入ってくるこういう映像がポイント

試しに手で両脇の映像を遮って視聴してみたところ、移動感は大して感じられなかった。多くの来場者は8Kの高解像度だから移動感が得られるとそのまま納得していたようだが、実際には視界の端から入り込んでくる情報を使って脳を誤動作させるというのが、この展示のハイライトだろう。
360度の映像体験が楽しめるディスプレイ装置
すでに実用化に向けて進んでいる、VR技術展示として、360度が見渡せるVRディスプレイのデモを体験した。解像度2880×2560/5.5インチ(538ppi)のディスプレイを2枚内臓し、新開発の高解像度接眼レンズを使ったディスプレイシステムである。
ディスプレイの下に2本のハンドルが出ており、視聴者はこれを握ってディスプレイを顔に当て、映像を楽しむ。中にはジャイロセンサーを内臓しており、上下左右を見回すと360度映像を見渡すことができるというわけだ。
・開発中のVRディスプレイ

撮影システムはEOSを使ったものとiVIS miniを使ったものが使われたようだ。
・EOS 6Dを使った360度撮影システム

人の移動に伴う映像の動作は非常にレスポンスが良く、遅れたり行き過ぎたりする感じはない。動作と映像のライムラグが大きくなる、すなわち行動に伴わない視覚情報が多いと、映像酔いを起こしやすくなるわけだが、その点は非常に良くできている。
高解像度ゆえに、臨場感が高いシステムだ。ただ撮影は360度全域が写ってしまうので、照明やサラウンドマイクどうするんだという問題もあり、コンテンツを作るのはけっこう大変そうである。
8K ReadyとなったCinema EOS
奥に進んだカメラコーナーでは、8K撮影可能なCinema EOSカメラが3台用意されていた。放送用途として拡張ボックスで色域変換されたもの、シネマ用途として収録可能なように拡張されたもの、コンパクトに撮影可能なカメラヘッド的扱いのもの、という展示である。8K関連は、11月18日から開催されるInterBEEでは展示しないということなので、ここでしか見ることができないわけである。
・放送用に拡張されたスタイル

・こちらはシネマ収録スタイル

・最小システムはこんな感じ

センサーサイズはスーパー35mmで、マウントはEF。マウントアダプタを介してPLレンズも使用できるのは、従来のCシリーズと同様だ。後部にはディスプレイが4枚繋がっているように見えるが、これはディスプレイツキのレコーダで、8Kの映像を田の字型に4分割し、4Kずつ収録するというシステムである。8K/60Pでの収録が可能だという。
映像としては問題ないレベルに仕上がっており、この後の8Kディスプレイの展示では、実際にこのカメラで撮影した映像が使われていた。
ただ8Kをリアルタイム再生するのは相当大変なようで、いろんなメーカーの4Kのプレイヤーをかき集めて、4台同時にリンクさせて走らせるなど、苦労も多いようだ。
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